弱者たち
2004年10月21日もうずいぶん昔
大好きだった彼女は
パニック障害だった。
僕は好きだと言い
彼女は駄目だと言った
私があなたを必要としたときに
あなたが発作を起こしていたら
どうするの?
僕には答えられなかった
発作を起こしたら、彼女のためになることは
できないだろうから。
自分のことで、精一杯だろうから。
一度だけ、彼女はキスを許してくれた
キスをして
見詰め合って
キスをして
また見詰め合って
キスをして
微笑みあって
キスをして
見詰め合って
何度も何度も繰り返した
まるでセックスのように
車内の薄明かりが照らす彼女は
深海で微笑む彫像だった
今でも、彼女にもらった携帯ストラップは
僕の携帯についたまま。
今は、彼女の幸せを祈るだけ。
でもひとつだけ、約束を交わした。
もし、両親が死んだとき
私が結婚していなかったら、
一人ぼっちになっちゃうから
私も死にたい
彼女はそう言って泣いた。
そのときは、君の事を、僕の家族に紹介するよ。
親友だと言って、紹介する。
家族みたいな人なんだって紹介するから
だから、一人ぼっちにはならないよ。
だいじょうぶ。
そんな約束を果たすことがないように
彼女には幸せになって欲しい。
・
大好きだった彼女は
パニック障害だった。
僕は好きだと言い
彼女は駄目だと言った
私があなたを必要としたときに
あなたが発作を起こしていたら
どうするの?
僕には答えられなかった
発作を起こしたら、彼女のためになることは
できないだろうから。
自分のことで、精一杯だろうから。
一度だけ、彼女はキスを許してくれた
キスをして
見詰め合って
キスをして
また見詰め合って
キスをして
微笑みあって
キスをして
見詰め合って
何度も何度も繰り返した
まるでセックスのように
車内の薄明かりが照らす彼女は
深海で微笑む彫像だった
今でも、彼女にもらった携帯ストラップは
僕の携帯についたまま。
今は、彼女の幸せを祈るだけ。
でもひとつだけ、約束を交わした。
もし、両親が死んだとき
私が結婚していなかったら、
一人ぼっちになっちゃうから
私も死にたい
彼女はそう言って泣いた。
そのときは、君の事を、僕の家族に紹介するよ。
親友だと言って、紹介する。
家族みたいな人なんだって紹介するから
だから、一人ぼっちにはならないよ。
だいじょうぶ。
そんな約束を果たすことがないように
彼女には幸せになって欲しい。
・
夕日
2004年10月17日昨日、夕日があまりに綺麗だったので
あの人にメールをした
今、綺麗な夕日を見ています
あなたに見せてあげたい
いえ、一緒に見たいなって思います
そうしたら、
今日の夕日はほんとうに綺麗ですね
と返事がきた。
まるで隣にあの人が居て
一緒にみているような
暖かな気持ちになった
ふたりでいるような気がした
とても遠くにいるのに
・
あの人にメールをした
今、綺麗な夕日を見ています
あなたに見せてあげたい
いえ、一緒に見たいなって思います
そうしたら、
今日の夕日はほんとうに綺麗ですね
と返事がきた。
まるで隣にあの人が居て
一緒にみているような
暖かな気持ちになった
ふたりでいるような気がした
とても遠くにいるのに
・
願い
2004年10月13日夕方苦しくなって自販機のお茶を持って
廊下の隅で薬を飲んでいたらあの人と出会ってしまった。
あの人は、大丈夫ですか?って聞いてくれて
眠くなっちゃいますね、って少し照れたように
話しかけてくれた。
あの人は、素敵な黒のVネックを着ていて
やわらかな笑顔で僕を見つめてくれた。
それだけで十分。
はやくそう思えるようになれるといいな。
・
廊下の隅で薬を飲んでいたらあの人と出会ってしまった。
あの人は、大丈夫ですか?って聞いてくれて
眠くなっちゃいますね、って少し照れたように
話しかけてくれた。
あの人は、素敵な黒のVネックを着ていて
やわらかな笑顔で僕を見つめてくれた。
それだけで十分。
はやくそう思えるようになれるといいな。
・
かたまり
2004年10月10日ときたまあのひとをめちゃくちゃにしたくなるときがある
けものをみるようなひょうじょうをしたあなたをおいつめ
そのほそいりょうあしにくさりをまきつけあなたをしばり
じゆうをうばってぼくのそばからにげださないようにする
あいしているってそういうことかもしれないなっておもう
ぼくはあのひとをあいしているからなにをしてもいいんだ
なぐってやぶってきりさいてちをながすあなたにくちずけ
くろいかたまりをこころのおくそこにしっかりととじこめ
くるってしまうまえにきえてしまったほうがいいのだけど
あなたのすがたがみえなくなるくらいならくるったほうが
わたしにとってどんなにしあわせなのかわからないだろう
あなたにはあなたにはけっしてわからないだろうかたまり
・
けものをみるようなひょうじょうをしたあなたをおいつめ
そのほそいりょうあしにくさりをまきつけあなたをしばり
じゆうをうばってぼくのそばからにげださないようにする
あいしているってそういうことかもしれないなっておもう
ぼくはあのひとをあいしているからなにをしてもいいんだ
なぐってやぶってきりさいてちをながすあなたにくちずけ
くろいかたまりをこころのおくそこにしっかりととじこめ
くるってしまうまえにきえてしまったほうがいいのだけど
あなたのすがたがみえなくなるくらいならくるったほうが
わたしにとってどんなにしあわせなのかわからないだろう
あなたにはあなたにはけっしてわからないだろうかたまり
・
海風
2004年10月9日駄目かもしれない
あの人から風が吹いてこない
砂浜にずっと立って
沖を見つめているのに
ずっと凪のまま
海鳥もいない
波の音も遠い
もうすぐ2年になる
あの人からは風が吹いてこない
あの人から風が吹いてこない
砂浜にずっと立って
沖を見つめているのに
ずっと凪のまま
海鳥もいない
波の音も遠い
もうすぐ2年になる
あの人からは風が吹いてこない
演奏会
2004年10月3日あの人は
指揮者のタクトに合わせて
ゆっくりと演奏を始めた
真剣なまなざしで
壊れそうな指先が
楽器を操り
ホールに音楽が満たされてゆく
私は
あなたの視線に入らないように席を選び
照明をあびて浮かび上がる舞台の上のあなたを
暗闇の中から見つめていた
美しかった
私の手が届かないことが
当たり前のように感じるほど
あなたは
真剣で
純粋で
輝いていた
あなたに出会えて良かった
あなたに恋をできてよかった
とても切なかった
・
指揮者のタクトに合わせて
ゆっくりと演奏を始めた
真剣なまなざしで
壊れそうな指先が
楽器を操り
ホールに音楽が満たされてゆく
私は
あなたの視線に入らないように席を選び
照明をあびて浮かび上がる舞台の上のあなたを
暗闇の中から見つめていた
美しかった
私の手が届かないことが
当たり前のように感じるほど
あなたは
真剣で
純粋で
輝いていた
あなたに出会えて良かった
あなたに恋をできてよかった
とても切なかった
・
夜の窓
2004年10月2日夜になると
会社の窓に
あの人の横顔が映る
美しくて
少し疲れた
あの人の横顔が
窓ガラスに映ったあなたは
ほんとうのあなたでは無いのだから
いつまでも見続けていて
いいよね。
せめて煙草を吸い終わるまでは。
・
会社の窓に
あの人の横顔が映る
美しくて
少し疲れた
あの人の横顔が
窓ガラスに映ったあなたは
ほんとうのあなたでは無いのだから
いつまでも見続けていて
いいよね。
せめて煙草を吸い終わるまでは。
・
こんがららら
2004年9月29日今日はだんだんと頭のなかが整理つかなくなってくる。
薬でも飲んで寝ちゃおうか。それともあの人から来るはずの
来ないに決まっているメールでも待って、朝まで過ごそうか。
酒でも飲むか。さっき飲んだ薬の作用が強くなってもいいじゃん。
どうせここでどんなことになっても、叫び声さえ、あの人には
届かないんだし、声が枯れるほど泣いたって、あの人には
聞こえなかったんだから。
暗い駐車場でオーディオのボリュームをいっぱいにして、
泣き叫んだ日から半年経ったけど、今はもう毎日泣いているわけでは
ないけれど、あの人はあの時と同じ場所に立っている。
それはとても意思の強い人でないとできないのかもしれない。
でも、憎んでみたいと思う気持ちはある。
友達なら、泣き叫ぶ私をどうして抱きしめてくれないの?
あなたが、僕を友達と言うのなら、どうして遠くから見つめているだけなの?
そんなに見たいなら、見ていればいいじゃん。
たった一人に気持ちの全てを奪われた、くだらない人生を
覗き込んでよ!逃げないで、そばに来て、しゃがみこんで
泣いて泣いて涙と鼻水でぼろぼろになった、僕の顔を見て
笑えばいいじゃない?
どうして、そこにいるの?
こんなに好きなのに。
それがわかっているくせに。
あなたは僕に何を求めているの?僕はあなたが欲しい。
ずるいかもしれないけど、家庭を持つ僕が、人を好きになるって
ずるいかもしれない。告白するなんて酷いかもしれない。
好きになったのだから、仕方ないなんて、言えないよね。
家庭は大事。子供たちが大事。僕の宝物。
あなたが、彼らを傷つけるなら、刺し違えても、子供は守る。
でも、あなたも好き。大好き。
あなたを傷つける人がいるなら、刺し違えても、あなたを守る。
それじゃ、駄目なの?
一生でなくていい。あなたの一生のうち、ほんの少しの時間でいいから
僕と分け合うことができないのはなぜ?
僕のことを嫌いではないと言ったじゃない?
もう駄目だ。
頭がこんがらがってる。毎日同じことばかり考えてる。
毎日毎日、おんなじこと。
出口なし。
助けなし。
・
薬でも飲んで寝ちゃおうか。それともあの人から来るはずの
来ないに決まっているメールでも待って、朝まで過ごそうか。
酒でも飲むか。さっき飲んだ薬の作用が強くなってもいいじゃん。
どうせここでどんなことになっても、叫び声さえ、あの人には
届かないんだし、声が枯れるほど泣いたって、あの人には
聞こえなかったんだから。
暗い駐車場でオーディオのボリュームをいっぱいにして、
泣き叫んだ日から半年経ったけど、今はもう毎日泣いているわけでは
ないけれど、あの人はあの時と同じ場所に立っている。
それはとても意思の強い人でないとできないのかもしれない。
でも、憎んでみたいと思う気持ちはある。
友達なら、泣き叫ぶ私をどうして抱きしめてくれないの?
あなたが、僕を友達と言うのなら、どうして遠くから見つめているだけなの?
そんなに見たいなら、見ていればいいじゃん。
たった一人に気持ちの全てを奪われた、くだらない人生を
覗き込んでよ!逃げないで、そばに来て、しゃがみこんで
泣いて泣いて涙と鼻水でぼろぼろになった、僕の顔を見て
笑えばいいじゃない?
どうして、そこにいるの?
こんなに好きなのに。
それがわかっているくせに。
あなたは僕に何を求めているの?僕はあなたが欲しい。
ずるいかもしれないけど、家庭を持つ僕が、人を好きになるって
ずるいかもしれない。告白するなんて酷いかもしれない。
好きになったのだから、仕方ないなんて、言えないよね。
家庭は大事。子供たちが大事。僕の宝物。
あなたが、彼らを傷つけるなら、刺し違えても、子供は守る。
でも、あなたも好き。大好き。
あなたを傷つける人がいるなら、刺し違えても、あなたを守る。
それじゃ、駄目なの?
一生でなくていい。あなたの一生のうち、ほんの少しの時間でいいから
僕と分け合うことができないのはなぜ?
僕のことを嫌いではないと言ったじゃない?
もう駄目だ。
頭がこんがらがってる。毎日同じことばかり考えてる。
毎日毎日、おんなじこと。
出口なし。
助けなし。
・
笑顔
2004年9月28日あの人の着ている服を優しく脱がし
まぶたにキスをしたい。
滑らかな肌に指を這わせ
羽毛のようにあなたを包み
時を刻みたい
全てを許してくれた時の
あなたの笑顔を
一生に一度でいいから
見せてくれないか?
・
まぶたにキスをしたい。
滑らかな肌に指を這わせ
羽毛のようにあなたを包み
時を刻みたい
全てを許してくれた時の
あなたの笑顔を
一生に一度でいいから
見せてくれないか?
・